年金分割

忘れてはならない年金分割

年金分割手続きは離婚の翌日から2年で出来なくなります

 

年金の受給年齢がはるか先の若い世代の離婚協議で、後回しにされ忘れがちになるのが年金分割についてです。

 

20~30歳代の方は、離婚しても自分の暮らしは働けばなんとかなるし、老後は遠い先と考えるのでしょう。

 

年金の重みを考える方は、そう多くないかもしれません。

 

離婚協議では目前の問題解決に追われ、年金分割のことまで思いが至らないこともあるかと思います。

 

逆に、婚姻期間が長く受給年齢が近づいている方にとって、離婚における年金分割は、解決すべき重要な関心事になります。

 

将来の年金制度の不安がささやかれています。

 

しかし、制度の変化、受給金額の増減はあるでしょうが、年金は老後の長い生活を支える柱であることに、現在も未来も変わりはないでしょう。

 

年金は老後生活にとって、とても大切な存在です。

 

離婚における年金分割の問題は年齢、婚姻期間の長短に関係なく軽視できません。

 

熟年の方のみでなく、実は若い方の老後もすぐそこにあるのです。

 

離婚における大切な年金分割について記しました。

 

ご参考になさってください。

 

婚姻期間に納付した年金は離婚しても公平に受給できる

 

年金分割とは、婚姻期間中に支払った厚生年金又は共済年金の保険料納付実績を夫婦で分けあうことです。

 

夫が会社勤めや公務員の場合、国民年金のほかに、厚生年金、共済年金に加入していますが、妻が専業主婦の場合は、妻自身は国民年金(基礎年金)にしか加入していないことになりますから、離婚後受け取れる年金額に差が出てしまいます。

 

特に婚姻期間が長く離婚した場合、その差は大きく妻側に不利な状況がありました。

 

しかし、夫が厚生年金、共済年金の保険料を納付できた背景には妻の貢献もあるのですから、その貢献を年金額に反映させるため、2007年4月その不公平を解消するため厚生年金・共済年金の分割制度ができました。

 

年金分割制度のポイントは

  • 年金分割の対象は厚生年金または共済年金
  • 配偶者の国民年金は分割対象外
  • 分割対象は婚姻期間中に支払った分のみ
  • 分割割合は最大で5:5迄
  • 分割請求手続きは離婚の翌日から2年以内
  • 分割方法は合意分割・3号分割の2種類

です。

 

詳細は年金分割の続きをご覧ください。

 

年金分割の方法

年金分割の方法は2種類あります

 

大切な年金分割の方法は「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

 

〇  合意分割制度(協議離婚で決めるべき年金分割の内容となります)

 

合意分割制度は、次の条件すべてに該当した場合、2人の請求により厚生年金の保険料納付記録(標準報酬)を分割できる制度です。

 

なお、分割される記録は、婚姻期間中の2人の保険料記録に限られます。

 

合意分割を請求できる条件

  • 平成19年4月1日以後に離婚している、または事実婚関係を解消(※)している
  • 2人の合意や裁判手続により年金分割の割合を定めている
  • 請求期限(離婚をした日の翌日から2年)を経過していない

※ 事実婚関係の解消による合意分割は、平成19年4月1日以後に事実婚関係を解消したと認められ、その事実婚関係にあった間に、2人の一方が国民年金の第3号被保険者であった場合に限られます。


〇  3号分割制度

 

3号分割制度は、次の条件すべてに該当した場合、国民年金第3号被保険者 であった方からの請求により、相手方の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度です。

 

国民年金第3号被保険者(※)

 

この制度により、分割される記録は、平成20年4月1日以後の国民年金第3号被保険者期間中の記録に限られます。

 

3号分割を請求できる条件

  • 平成20年5月1日以後に離婚している、または事実婚を解消している
  • 平成20年4月1日以後に、2人の一方に国民年金の第3号被保険者期間がある
  • 請求期限(離婚した日の翌日から2年)を経過していない

※ 国民年金3号被保険者とは厚生年金の被保険者・共済組合の組合員の被扶養家族で、20歳以上60歳未満の人をいいます。


年金分割は必ず行う

 

人生100年の時代です。

 

たとえ、数年の結婚生活で離婚し、年金分割で受給できる年金はわずかでも、老後の収入となれば、とても助かるものです。

 

長寿で受給期間が長ければ、長いほど年金の受給総額は多くなります。

 

将来、分割され受給できる年金の価値を実感することが必ずあります。

 

年金分割を行ってください。

 

次に、1人で分割申請ができる3号分割とは違い、原則、2人で申請しなければならない合意分割についてです。

 

公正証書があれば年金の合意分割手続きは一人でできる

年金合意分割の手続き

 

年金の合意分割を請求する手続きは、離婚が成立した後、年金分割の合意や調停、審判に基づいて、支給する側の管轄する年金事務所へ「標準報酬改定請求」というかたちで行うことになります。

 

なお、年金の合意分割の請求は、元夫婦2人で社会保険事務所に出向き、分割請求の手続きをするのが原則です。

 

ただし離婚公正証書を作成し、そこに年金分割の条件が記されていれば、分割請求をする方が、その公正証書の謄本を社会保険事務所の窓口に提出すれば、1人で分割請求の手続きができます。

 

しかし、この離婚公正証書がなく、原則通り2人で分割手続きをする場合、年金が分割され減る側にとって、社会保険事務所に2人で行くこと自体、相当煩わしく感じるものでしょう。

 

分割手続きが後回しにされることも十分考えられます。

 

年金分割の請求手続きができる期間は、離婚の翌日から起算して2と決められております。

 

期間中に相手方が亡くなるとか、後回しにされてその期間を過ぎれば権利を失うことになります。

 

年金分割を記した公正証書の効用は、相手に頼ることなく、あなた1人で年金分割請求の手続きができることです。

 

なお、この手続きでは、離婚契約の全内容が記された公正証書の謄本ではなく、年金分割の部分のみが記載された抄本(省略謄本)を提出すれば良いことになっておりますので、社会保険事務所の職員に、その他の情報を知られることはありませんのでご安心ください。

 

老婆心ながら重ねて記させていただきます。

 

この「標準報酬改定請求」は原則として離婚した日の翌日から起算して2年以内に行わなければなりません。

 

ご注意ください。

 

仙台/宮城離婚相談室は公正証書・離婚協議書の作成サポートを行っております。

 

お問合せ・ご相談は初回無料です。

 

お気軽にお問合せください。


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離婚で離別した親子にも面会する権利があります。

 

子どもの福祉のためにも、面会交流はとても大切なことです。

 

ご参考になさってください。